心を病んだ母のもとに育ち、幼い頃に引き裂かれた姉妹ホンとラン。
姉のホンは祖母に引き取られ、妹のランは母と共に生活することになるが、母の死を機に20年ぶりに再会。 互いに、幼き頃の出来事や、離れ離れになった成長過程で心に傷を負い、亡き母や家族へのわだかまりを持ったまま、奇妙な同居生活が始まる。しかし、血の繋がりはあれど他人も同然になった姉妹が一緒に過ごす時間は、どこかしら歪なものだった。ある朝、ホンが目を覚ますとそこにランの姿はなく、その失踪から数年後、ランの遺体が日本で発見されたという知らせが届く。
居てもたっても居られず、仕事も家庭も放り出して日本へ旅立ったホンは、初めて訪れる街を彷徨いながら、亡き妹が生きた証を辿る。妹のルームメイトに案内された生前二人が住んでいた部屋、そこに残された日記、見覚えのある懐かしい白のサマードレス……そして日記に綴られていた内容からあぶり出された男。異国の地で妹の幻影を追い続ける中、まるで残像のように浮かび上がるランの謎めいた微笑みと眼差しの先に、姉はなにを思い、なにを知ることになるのかー